第4回 《企業内メンタルヘルス対策の現状》《相談できる態勢を》
職場で役立つストレスマネジメント(山陰経済新聞) | 2004年3月28日
メディカルストレスケア飯塚クリニック 飯塚 浩
株式会社アイ・エム・エイチ(橋田カウンセリングルーム) 橋田富美恵
■ 企業内メンタルヘルス対策の現状
メンタルヘルスの問題や疾患が社員の病欠理由のトップになっている企業が年々増え、「人間関係の問題」を退職理由にあげる人も相当数に上ります。また働き盛りの自殺者数は増え続けています。このような流れの中で、企業におけるメンタルヘルス問題は今や最重要項目の一つです。にもかかわらず、対策はほとんど進んでいません。厚生労働省でも「ためらわず精神科へ」といったメディアを使ったキャンペーンや企業のメンタルヘルス対策を支援する動きをみせていますが、目に見える成果には至っていません。
■相談できる態勢を
対策が進まない企業側の理由としては、「取り組み方がわからない」「経費がかかる」といったことがあげられます。大企業では健康管理室などを設置して社員の健康管理にあたっていますが、メンタルヘルスに関する相談が社員から持ち込まれることはほとんどありません。「会社に知られたくない」からです。特に男性では「他者に相談して解決していく」という習慣がありません。自殺防止ホットラインである「いのちの電話」などでも最も自殺者の多い中高年男性からの相談が最も少ないのです。
これらの問題の解決として浸透しつつあるのが外部の専門機関の利用です。メンタルヘルスの問題について会社の健康管理室を利用することに抵抗がある人でも、「誰がどのような相談をしたかについて会社側には知らせない」というプライバシー保護を前面に打ち出すことで相談数は明らかに増加します。
ストレスマネジメントを行う上で会得すべき重要なスキルの一つが「問題解決スキル」です。問題を的確に定義し、選択肢を考案し、決定した解決法を遂行しつつ検証もきちんと行うという技術です。このスキルの使いこなしがストレス耐性を大きく左右します。カウンセラーの利用はこの「問題解決スキル」を高める即効的な方法です。
いずれにしても職場の人間関係のみならず、夫婦関係や子どもの問題なども含めて相談しやすい環境づくりができれば強力なメンタルヘルス対策となるでしょう。